実習で幼稚園へ行った時の話

歯科衛生士学校に通っている時の実習の中で幼稚園と小学校で子供達に歯磨き指導をするというものがありました。

それぞれ幼稚園と小学校で1クラスずつ受け持ちを決められ、媒体（指導に使う資料や道具）を準備し、流れや指導ポイントをまとめていきます。

この実習というのが、1人で園児や児童の前に立ち指導する姿を同級生、衛生士学校の教員、小学校・幼稚園のクラス担任に評価されながら行うという公開処刑ものでした。

あの緊張感、思い出すだけで胃が痛くなる。

私の受け持ちは幼稚園の年長クラスと小学校の5年生のクラスでした。

それぞれ幼稚園生向け、小学校高学年向けに指導案を練っては教員にボツをくらい泣きべそかきそうになりながら準備をしました。

幼稚園生には紙芝居を用意して「歯磨きしないとこうなるよ」「歯ブラシはこうやって動かすと虫バイキンが居なくなるよ」的な内容の事をやって最後に「歯みがき上手かな」の歌を流しながらみんなで歯を磨いて締めようと考えました。

教員に指導案を見せたところ「歯みがき上手かな」の音源は学校にあるから用意しておいてあげると言うので有難くそうさせて頂きました。

そして本番当日。

カチコチに緊張しつつも何とか媒体を駆使して園児の前で指導する私。

幼稚園生って可愛いわぁ。

幼稚園実習よりも先に小学校5年生クラスでの実習があったのですが、そこは思春期入りたての男子女子。

メチャクチャ反応悪いし、誰も質問とかしてくんないからコッチから指名しちゃおうかな！とか思うと皆目を伏せて気配を消すし。

そのせいで持ち時間をかなり余らせた状態で指導が終わってしまいシーンとした教室の教壇で心が折れた。

それに比べて幼稚園園児の反応のよろしいこと、逆にうるさ過ぎて進行出来ねぇ！という場面もありましたが静まり返った教室のあの空気に比べたら可愛いものです。

指導は順調に進み、いよいよクライマックス。

「みんな自分の歯ブラシ持ったかな？お歌に合わせて歯を磨くよー！」

あらかじめお願いしておいた通りに私の掛け声のタイミングで教室の後ろに立っている実習仲間が「歯みがき上手かな」を再生しました。

ハミガキ 上手かな
くちゅくちゅ(チュ) しゅわしゅわ(ワー)
くちゅくちゅくちゅくちゅ しゅわしゅわ(シュワシュワ)
くちゅくちゅ(ハミガキ) しゅわしゅわ(ハミガキ)
くちゅくちゅ(クチュクチュ シュワシュワ)わー

くちゅくちゅ(チュ) しゅわしゅわ(ワー)
くちゅくちゅくちゅくちゅ しゅわしゅわ(シュワシュワ)
くちゅくちゅ(ハミガキ) しゅわしゅわ(ハミガキ)
くちゅくちゅ(クチュクチュ シュワシュワ)わー

くちゅくちゅ しゅわしゅわ しゅわしゅわ
くちゅくちゅ しゅわしゅわ クチュー

仕上げはお母さん
ぐりぐり(グリグリ) しゃかしゃか(シャカシャカ)
ぐりぐり(グリグリ) しゃかしゃか(シャカシャカ)
上の歯(グリグリ) 下の歯(シャカシャカ)
前歯(グリグリ) 奥歯(シャカシャカ)
上の歯(グリグリ) 下の歯(シャカシャカ)
前歯(グリグリ) 奥歯(シャカシャカ)
ぐりぐり しゃかしゃか
ぐりぐり しゃかしゃか しゅわー

食べたら磨く 約束げんまん

歌が思ったより超長かった。

歌詞だけ見ると普通だと思うでしょうけど。

テレビで流してるのはショートバージョンなのかしら。

やたらとクチュクチュシュワシュワの繰り返しがあったり間奏が物凄く長くて磨いてるうちに「え、まだ続くのこれ」みたいな空気が漂ってきました。

園児は「テレビと違う」とか言い始めるし「仕上げはお母さん〜」のくだりからは園児達は自分で磨くの止め始めるし。

あ、このフレーズで終わりかな？と思えばまたクチュクチュシュワシュワの繰り返しが入るし。

いつ終わるのか分からない歌を聞きながら引きつった笑顔で模型のブラシを動かし続け、心の中で音響係りに「おい、気を利かせてキリの良いところで音消しやがれ」と悪態をついたものです。

ま、私が教員に任せっきりで自分で音源確認しなかったのが悪いんですけどね。

でも実習後に教員からの駄目出しを受けながら「お前、絶対この曲がクソ長いの知ってただろ」とコッソリ思いました。

娘にこの曲歌いながら歯磨きしてやる時に思い出す苦い思い出。