藁を落としていくおじさん
実家近くの田舎の歯科医院に勤めている時の話。
来院する度に藁を落としていくおじさんがいました。農家で牛の世話をしている人だったので多少の藁が服に付いるのも分かるのですが。まぁ多少ならね。
もうお分かりでしょうが、多少じゃない藁の量を毎回撒き散らして帰っていくんですよ。おじさんが座った待合室のソファ、診療台の椅子の隙間、おじさんが歩いた後に点々とトトロのように藁が落ちている。もちろんおじさんが履いていたスリッパをひっくり返すと藁が出てくる。
不思議なのがおじさんの服に付いている藁の量と落としていく藁の量が釣り合わない。そんな大量に付いてた?って量を振りまいていくのが謎過ぎてスタッフの間で話題になっていました。
ポケットに詰めてるのか。ハイジみたいに藁のベッドで寝てんじゃないのか。藁マジシャンなんてあだ名が付いたり。
でもね、藁が大量に服に付いてたらそうとうチクチクすると思うんです。スリッパにも大量に入るぐらいなので靴下も相当チクチクしてると思うんです。
おじさんわざとだった?もしかして突っ込み待ちだった?若い子と絡みたかった?
なんて今になって思ってみたり。真相は謎のまま。